こんにちは。
クラブマネジメントの小幡万里子です。
ダウン症候群と呼ばれる先天性疾患は多くの方がご存知でしょう。
ヒトの22組ある常染色体(性染色体でないもの)のうち、最も小さい21組目の染色体が、通常の母親と父親からの1本ずつに加え、さらにどちらかの親に由来する1本が増え、合計3本で1組になることによって生じる先天性疾患です。
21_trisomy_-_Down_syndrome (ダウン症発症者の染色体)ー21番染色体からの遺伝子発現量が過剰となりダウン症を発症すると言われています。
しかし、ヒトの22組の常染色体に加え、最後の23組目の染色体にあたる性染色体では、正常なヒトでも、ダウン症に見られるような余分な1本がいつ悪さをしてもおかしくない状況になっているのです。
性染色体はX染色体とY染色体の2本で1組であることは、皆さんもご存知でしょう。
男性はXYの組み合わせ、女性はXXの組み合わせです。
男性はX染色体が1本なのに対し、女性は2本あります。
この状態は、ダウン症にみられる3本の染色体とよく似た状況です。
余分な1本のX染色体がることで、女性はX染色体からの遺伝子発現量が過剰にならないのでしょうか?
しかし、世の女性が例外なくピンピンしているのを見ると、そこは過剰にならないようにうまく制御されているのでしょう。
つまり、女性には、余分な1本のX染色体からの遺伝子発現をほぼ完全に抑制する、X染色体の不活性化と呼ばれる仕組みが備わっているといえます。
7月17日、米マサチューセッツ大学病院のグループが、ある遺伝子を組み込むことによって、ダウン症の原因となる21番染色体の余分な1本の機能を抑えることができるのではないかと発表しました。
余分な1本のX染色体を不活性化できるのなら、余分な1本の21番染色体だって不活性化できるということです。
それが、培養細胞ではうまくいったのです。
ダウン症は知的障害や奇形など様々な合併症が起こり、先天的な遺伝子疾患であるため現在のところ根本的な治療法は存在しません。
実験は、マサチューセッツ大学医学校で行われ、全ての哺乳類のメスが持つ、2つのX染色体のうち1つの遺伝子発現を抑制する機能を模倣するものでした。
2つのX染色体はXIST(X不活性遺伝子 ー 専門的には、X染色体の不活性化機能をもつものとして知られる)と呼ばれる遺伝子を持ち、活性化したときに生成されるRNA分子がもう片方のX染色体の表面を覆うことで、遺伝子の発現を抑える機能を持ちます。
そこで、XIST遺伝子をダウン症患者から得た3つある21番染色体のうちの1つに導入しました。
XISTによる21番染色体の遺伝子発現抑制により、ダウン症患者由来の細胞が正常細胞のように振る舞うようになるのかどうかを調べたところ、21番染色体の過剰発現に由来する細胞増殖能低下が回復し、神経細胞への分化能も正常細胞並みに戻ることが確認されました。
そして、一度XISTを組み込むことで、後は発現させるだけで、ほぼ100%の抑制効果が得られるとのことです。通常の遺伝子組み換えで高い効果が得られるクローンの選択という操作が不要となり、この染色体不活性化効果が、今後1~2年以内に他の13番や18番などの染色体異常にも応用できるだろうとしています。
また、ドキシサイクリンと呼ばれる抗生物質によって活性化される遺伝的なスイッチも同様に導入され活性化されると、ダウン症の原因となっていると考えられている21番染色体の遺伝子発現が抑えられたのです。
この実験は、体内のどんな細胞へも分化することのできる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用して行われたため、将来的には様々な臓器や組織に、ダウン症がどのような影響を与えるのかが研究されることが期待されます。
ダウン症患者の細胞から、余分な染色体を除去するという研究は以前にも行われていましたが、
3つめの21番染色体が自然に細胞からはじき出されるのを待たなければなりませんでした。
人間では、この現象をコントロールすることはできないと思われていたのです。
今回発表された手法も決して、完璧ではなく、XIST遺伝子が余分な染色体の全ての遺伝子発現を本当に防いでいるのかは分かりません。実験にノイズが混ざってしまう可能性もないとはいえません。
しかし、この方法はとても有用であると考えられ、ダウン症だけではなく他の染色体障害についての研究へも応用できるだろうと言われています。
【ダウン症の主な症状】
知的障害や極端な身体能力の低さ・視力の異常などが挙げられるほか、病原菌や感染症への抵抗力が極めて低く、健常者よりも寿命が短い傾向にあります。21番目の余分な染色体が発病に関係していることは判明していますが、その染色体の中のどの遺伝子が発病の原因となっているのかは未だに明らかになっておらず、現在でも根本的な治療方法は確立されていません。
医学、科学の進歩は、過去の不可能を可能にする希望があります。
ただし、過去に、多くの普通の人からみたら、同情に値するような障害をもっても、それを支える両親、周囲の理解、当人の努力によって、生きることを精一杯に過ごしてきた過去を否定しての進歩という捉え方ではなく、どんな状況であっても、生命を慈しむ心こそが、自然であり、一番強い力であると感じます。
この出会いと、時間を共有してくださった方がたに 心から感謝です。
今日も一日…ありがとう。
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