教育の引き出し 研究授業

研究授業その18 中学2年 体育 2006年11月

2006年11月25日

中学2年 体育 バスケット

体育の授業は、息抜きの色が濃く出ているのが
中学校の授業でも感じられる時代になったと思っていた。

巷では、運動能力の低下が叫ばれるようになり
体育教諭も、子どもの運動能力に合わせた授業をするようになった。
体育〜という教科としてではなく
学校生活の中で、楽しく、息の抜ける時間として
体育が位置付けられ
体育教諭も、それに甘んじている状況が
大半なのではないかと感じていた。

この体育教諭は
生徒指導も毅然としている教諭である。
体育の授業開始には、しっかりと、生徒に挨拶をさせ
準備運動もきちんとやらせる。
「怖い」というイメージを生徒が抱いているためか
授業の成り立たない原因となる生徒も
この先生の授業では、しっかりとやるべきことをこなしている。

バスケット〜というと、球技の格闘技と私は呼んでいる。

男女混合で試合をすれば、確実に、男子の独り舞台になり
女子は、蚊帳の外になる。
といって、男女別でも
結局は、動く者、動かない者が
出てきてしまうのが
こうしたチームで行なう球技の困ったところである。

この体育教諭は、その問題点を解消するために
必ず、誰もがボールに触れなくてはならない練習方法を
生徒に課した。

そして、運動能力という差異が
ボールの受け渡しに左右されるのではなく
生徒達の人間関係によって
体育の授業という学習の場でも
顕著に現れるということを理解されていた。

そのために
「男子は、女子が動かないと怒り
女子は、男子がボールを回さないと怒る」
という、現実を生徒に認識させ
その問題を改善するためにはどうしたらいいのか?
それについて、ホワイトボードの前に生徒達を集め
問題点を生徒達から挙げさせ
その改善方法について、意見を述べさせる。

体育の授業で、このように
生徒達自身に考えさせる授業を行うことの
できる先生がいらっしゃるということに、大変、驚いた。

生徒達も真剣に自分達で考え
プレイをするからには、点数を取りたい。
ゴールをするために、チーム全体で取り組まねばならない。
そのために、ボールに全員で向かわねばならない。
誰もが、ボールをもらい、ボールを渡すことのできる
関係を作り上げなければならない。

そのために、どうする?

そんな話し合いを、体育の授業で行なう。
片付けも、自ら進んでやる生徒の姿があった。
問題の2年生〜と言われる学年であっても
教師の力で、子どもの姿が変わるのだということを
まざまざと見せていただいた。

検討会で、私の話した言葉を
後のまとめで、先生が、ご自身のレジメの中で
参観者から指摘され、気づいていなかった点として
一つの項目に、まとめてくださっていた。

以下は私の指摘した文章。

2年生の生徒が、しっかり行動していたのには感心した。
普段の指導の成果の表れだと感じた。
授業の工夫が随所に見られた。
同じクラスを、以前参観した授業では
見せない笑顔や表情を見ることが出来た。
体育の授業が、体育の学習ということだけでなく
相手への思いやりや配慮
人間関係を考えたりすることの必要性など
様々な要素を含んでいることを
実際に見て、初めてわかり、勉強になった。
実態調査などを元に、男女それぞれの課題や
授業のねらいを明確にしたことは
生徒に何を今日、学習させるかが明確になっていて良かった。

先生の最後のまとめの言葉が素晴らしい
(1)学級経営
(2)学習のルールを各教科で定着させること
(3)学習の訓練
(4)ほめる
(5)教師自身が学びのモデルになること
よりよい授業をするためには
教材研究、発問、場の設定など
様々な要因が必要になるが
それと同じくらい必要なことが
上述した生徒指導に関わることが
大切であると認識している。

そう認識している教員が、どれだけいてくれるのであろう。

それでも、こうした先生が子どもと
真摯に関わっていてくださることに
深く感謝するのであった。

(2006年 11月)

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