研究授業その4 理科3年生 2006年9月 夏休み明け早々の研究授業は 理科
テーマは 「力が働かないときの運動」
前時の 振り返りの後
電車の発車、運行中、停車の動きを 台車を使って実験
人に見立てた バネの動きを見るのですが、
バネが 発車時に揺れないグループがあり
見ている 私も
「あれ? 動かないね?」
次の実験
(Photo : Wikipedia より)
ダルマ落としを使い、下の段が 叩かれて飛ぶと、
ダルマは 下に落ちる。 〜それが慣性
コップをのせた テーブルクロスを引くと、
コップは そのまま残る。 〜それが慣性
おもりを 糸で吊るしおもりの下につけた糸を引き、
上の糸を切ったり 下の糸を切る実験。 〜それも慣性
実験をする時
子ども達は とても生き生きとして 楽しそうでした。
時間が無くなり
最終的なまとめは 次回の授業ということになりました。
その後、授業についての話し合いの中で、
先生は
「慣性については30分くらいで 済ますものですが 敢えて 2時間を取りました」 と。
確かに 動くために運動があり その速度の変化や、
かかる力によって 運動が変化するという話は
自分達の身近な事象から 理解することは容易です。
が、
「動かないものは 動かないままで 動き出すと そのままの速さを保つ」
という、理解を求めることの難しい 「慣性」の授業に 敢えて取り組み
理解を深めるために 実験を 多種用意されたことは
先生の 意欲的な取り組みだったと感じました。
そして 自分の無知さを認めながら
先生に質問をさせていただいていると
生徒に 高校の物理につながる理科を
楽しんでもらいたいという
その気持ちが 伝わってきます。
ただ生徒には、
授業時間の中で 実験した事柄は
「あ〜面白かった」
ということで 完結してしまい
そこから、
だから その 「慣性」が 何になるの?
というところまで 昇華されないのです。
私は
「子どもたちは 体を使って 実験をすることは 楽しいし
慣性の法則により だるまが 下に落ちる
ということは 分かったと思います。
前回の授業で 斜面の傾きが変わると 速さが変わる
ということは
例えば 川の流れや 滝の流れという
自分の身の回りや、生活の中で 実感出来るのですが、
この「慣性の法則」が そういった生活の中で、
身近に感じられるような 具体的なことで
役立っていると いえるものが あるのでしょうか?」
とお聞きしました。
なんでも 宇宙ロケットの制御システムなどに
この慣性が 大きく役立っているということでした。
「でしたら、その細かい作りなどは
説明するには 難しいことなのかもしれませんが、
今ここで 学ぶことが、
宇宙ロケットという 大きなプロジジェクトにつながる
その最初の入り口なんだ!
ということを お話くださることで、
子どもは この慣性の法則に 興味を持つかもしれない。」
「私自身、物理の分野は とても理解出来なかった人間なので
なんとも言えませんが、進学した高校でも 今は細分化され
ある程度、自分自身で 将来学びたいことを
この中学3年間でみつけて 高校選択をしなければなりません。
もしかして、理科の授業を聞いて 宇宙に興味のある子ならば、
そこから もっと学ぼう という意欲が 出てくることもありますよね。
難しい分野の話でも、自分の身近な生活にあることと
結びついていたり、知りたいと思ったり、
興味を持てるような 一言の言葉で
学ぶ意欲が生まれるかもしれないのです。
先生方にも どんどんその気持ちを 子ども達に伝えてもらいたいと
親としては 願っています。」
と お話しました。
そこに 教育センターの方も いらしていました。
現況の 子どもの 理科離れの話
また、天文の分野では
小学4年生から中学3年生になるまで、
指導要領からなく
そのために子ども自身が
空を観るということもなくなり
天文への興味も 薄らいでしまっているという
現実を お話しくださいました。
もっと、もっと 私達が 熱い思いを
子ども達に話してやらねばなりませんね。
最後にそうお話しくださいました。
1年生2年生の理科の先生も いらしており、
それぞれに 理科の教え方について
自分なりのやり方を模索し、
考えていらっしゃることも知りました。
理科という難しい教科の中で
本当に やらせてあげたいことがあり
分かってもらいたいことがあり
たくさんの実験をさせることで
興味を 引き出してやりたいと
思っている気持ちがあることを 知りました。
もっともっと 生徒と先生が話をできる
時間と環境があればいいのに〜
と感じました。
ただ、教科書を読んでいるのではなく、
本当は目で見て手で触れ、分かってほしいという願いが
そこにあることを〜。
保護者が 先生の授業に対して 話しをさせて頂く 機会のある学校は 本当に 数少ないと思います。
それでも、こうして 門戸を大きく開いてくださる
この中学校に 親の思いも届けることが出来て
本当に 有り難い機会だと 感謝しています。
先日、
大雨の後 きれいな虹が 空いっぱいに出ていました。
下の娘に
「虹ってきれいだね。どうして虹ってできるの?」
と聞かれ言葉に詰まった私です。
親も 家庭で 子どもと共に 学んでいかねばならないと、
こういう疑問に答えられる 自分にならねばと
反省の思いを持ちながら、
子どもに興味・好奇心を 持たせられるような 会話をしたいと
自転車のペダルを 精一杯踏み込みながら 帰り道を 急ぎました。
( 2006年9月 )
お時間ございます方は、こちらも ご高覧ください。
↓
研究授業その4 理科3年生 2006年9月 を含む 19回 + まとめ を一度にご覧いただけます。
おまけ
慣性の法則 について 参考になるのではないでしょうか。
↓
北海道大学 ゼロからはじめる「科学力」養成講座1 (2009年度)
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