教育の引き出し 研究授業

研究授業その3 数学3年生 2006年7月

2006年7月12日

今回の 研究授業 は 数学 研究授業その3 数学3年生 2006年7月

「多項式の乗法公式  (x+a)(x−a)=x^2−a^2 」

についての講義であった。

最初に乗法公式

1. (x+a)(x+b)=x^2+(a+b)x+ab

2. (x+a)^2 =x^2+2ax+a^2

3. (xーa)^2 =x^2−2ax+a^2

の振り返りの後、

「(x+a)(x−a)」の公式を自分で作ってみよう!

という課題を与えた。


公式を作る〜 という言葉が ピン!

と来なかったためか

生徒は結構悩んでいた。

先生が

「ヒントをあげるよ。展開してみたらどうかな?」

生徒の手が動き出した。

そこで出て来た答えは

(x+a)(x-a) = x^2+ax-ax-a^2 = x^2-a^2

「乗法公式を使った人はいないかな?」

乗法公式1を使って

(x+a)(x-a) = x^2+0-a^2 = x^2-a^2

「この0について説明してもらえるかな?」

{(-a)+(+a)}x = 0x = 0

です。


「公式を出すにもひとつではないんだよね。」

「今まで自分が学習して来た公式や考え方を使って 新たに公式を作ることもできる。」

「この自分達で作り出した公式を使って 問題を解いてみよう。」

先生の作ったプリントに5〜6問の設問があり
答えを出すやいなや 早い子は 1,2分で
子ども同士が 席を立ち 教室の前に集まり
2〜3グループで 自主的に 答え合わせをする。

自席で 格闘している子には 先生がアドバイスを与え
周囲の生徒が 考え方を 教えている。


そして、ちょっぴり ひねった問題

(5-x)(x+5) という設問に対して 板書し

生徒に 公式に 当てはめるための工夫 を 聞く。

(5-x)(5+x) に 置き換える

という考えを 導かせる。

そして 全員を立たせ

「(5x + 4)(5x – 4) = 5x^2 – 16

の間違いに 気付いた人?」

と 声をかける。

どんどと座る中、数人が 残る。

「正しい答えは?」

25x^2 – 16

「これは どういうことかな?」

(5x)^2 – (4)^2 ということです。


そしてまた、プリントを配布し、
終わったもの同士で 答え合わせをし
先生は 自席の子に 机間指導をする。

最終プリントで 確認テストをし、
先生が 答えを板書し、
隣同士で ○付けをし 提出。

研究授業その3 数学3年生 2006年7月

先生の狙いは 授業では 数量分野を得意とする生徒が多いにも関わらず

家庭学習で それを定着させる習慣が身に付いていないことをふまえ

授業の中で より多くの計算問題を解かせたい〜

という思いを 持っているようだった。


確認テストも

いかにも 子ども達が 引っかかりそうな設問など 配置しながら

それも ひとつひとつ それを解くための布石となる問題を 順番に並べている。

「これが解けたらこの問題の手がかりになるね。 そしてこの次に つながるね。」

そんな先生の思いの伝わる プリントだった。


授業検討会では

教育委員会からの 数学専科の先生も来られて
的確なアドバイスを されていた。

その中で

「乗法公式を使って、公式を出す場面で、
あの生徒を当てたのは 予め 机間指導中に
あの生徒が分かっていたと知って 指名したのですか?」

と尋ねた。

「そうです。それで答えてくれるかな〜と 期待して 指名しました。」

実は〜〜〜 それ、我が娘!

あまり人前で しゃべるのが得意でなく
キチンと筋道を立てて 話しが出来ない 我が娘

「いきなり 0 という数字を出して

そこに {(-a)+(+a)}x = 0x = 0

という説明が 抜けていたので、

いつも せっかちに答えを出そうして

もうひとつ 式を入れれば 間違いが減るよ〜

と 言っているのですが

先生が そこで 0 の部分を 聞いて下さったので

ヒヤヒヤしてました〜」

と ポロリと言ってしまった。

教育委員会の先生をはじめ、

1、2年の数学科の先生が

「そこで 0 という意識があれば
キチンと 前に習った乗法公式を理解していると 思われます。
ですから 大丈夫ですよ。」

と言ってくださり ホッとした。


この授業では

公式は ただ暗記すればいいものだ!

ということではなく、

子どもであっても

自分達が 今まで学んできたものを 土台として

自分達の力で 導き出せるものである

ということを知ってもらいたかった〜 という

先生の言葉が とても嬉しかった。

決して 数学を得意とする子どもばかりではない。

過去、私も むしろ不得意科目だった。

当時はとにかく

公式を暗記してそれを使って答えを出して行け!

という意識しかなかったのだが

数学の ひとつひとつの積み重ねが、

次の公式を生み出す ということを

確認させてもらえる 授業だった。

もしかして、

それを極める子ども達の中に

新しい公式を生み出す人間が 出てくるかもしれない。

 

そんな未来を夢見られる先生の授業だった。

そして、この我が娘のクラスは 実に男女なく仲がいいと 参観するたびに思う。

まあ、中では おとなの見えない部分で
いろいろあるのでしょうが……

でも とてもいい感じのクラスの雰囲気で、

きっちり真面目!

とは言えないものの、

ほどほどにリラックスした 安心できるクラスである。

(そして この数学の先生が 担任)

担任の先生が まさにそんなお人柄の先生

学級のカラーって 中学になっても

担任の先生のカラーに染まるのだなあ〜と 思った。

前年度、ゆるゆるの先生だったので(体格も巨漢でした)
本当に嬉しい限りである。

我が娘は 周りに とても影響を受けるタイプなので、
先生の影響も 大きい。

もっと 自分自身をしっかりともった
揺るぎない性格になってくれたら〜〜〜とも
思うが、

たくさんの影響を受けるということは
心が柔軟なのかもしれないと、

いい受取り方をしよう。

実は 私が それを 見習わねばならないのかも……

というか
こんなに激しい性格の母親にも染まらず
マイペースな子ども達って
ある意味、
実は 揺るぎない自分を 持っているのかもしれないな〜

なんて 思ってしまった。

( 2006年7月 )


 

お時間ございます方は、こちらも ご高覧ください。

教育の引き出し 研究授業

研究授業その3 数学3年生 2006年7月 を含む 19回 + まとめ を 一度にご覧いただけます。


 

 

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