国語の力

冬景色

2008年2月12日

さぎりきゆる みなとえの
ふねにしろし あさのしも
ただみずとりの こえはして
いまださめず きしのいえ

からすなきて きにたかく
ひとははたに むぎをふむ
げにこはるびの のどけしや
かえりざきの はなもみゆ

あらしふきて くもはおち
しぐれふりて ひはくれぬ
もしともしびの もれこずば
それとわかじ のべのさと


狭霧(ぎり)消ゆる 湊江(みなとえ)の
舟に白し 朝の霜
ただ水鳥の 声はして
いまだ覚(さ)めず 岸の家

烏(からす)啼(な)きて 木に高く
人は畑(はた)に 麦を踏む
げに 小春日(こはるび)の のどけしや
かえり咲(ざき)の 花も見ゆ

嵐(あらし)吹きて 雲は落ち
時雨(しぐれ)降りて 日は暮れぬ
若(も)し燈火(ともしび)の 漏(も)れ来ずば
それと分かじ 野辺(のべ)の里

中学1年生

ただいま、古典の学習中
「今日。国語で「げに」って言葉が出てきたの。
そしたら、小学校5年生の時に音楽で習ったこの歌が
ずっと頭の中で流れてて、歌いたくなっちゃった」

小学校で使っていた『みんなのうた』を
取り出して歌い始める。

現在。
こうした過去の文部省唱歌は、
言葉が古くて子どもは理解できない~と
音楽の教科書から消されている。

次女が横浜の小学校でいただいた
『みんなのうた』や教科書には
こうした古くさいと言われる歌が残されている。

古くさいはずの北の国で、
こうした唱歌はどんどん教科書から失われ
私からみて、ごくごく最近のヒットソングが
並んでいたりするのだ。

最近の歌がよろしくないなんて、
露ほども思わないけれど
子どもの心には、新しい古いを超えて
美しい言葉の響き~というものは、
意味を理解する以前に
心の中に吸い込まれていくのかもしれない。

次女が5年間、お世話になった小学校には、
音楽専科の先生がいらっしゃって
音楽室の掃除の仕方から、
部屋に入る時のご挨拶、姿勢、声の大きさ~
そういうことから、しっかりと子どもたちに
身につけさせようとしてくださった。

楽器類も、ソプラノリコーダーから
アルトリコーダーを早くに始めて
子どもたちの吹ける曲のレパートリーを
増やしてくださった。

この『冬景色』も、言葉の意味を説明しながら
子どもたちにその旋律と
日本語の美しさを伝えてくださった。

「歌と一緒に、意味も教えていただいたのに…忘れちゃった」
そう残念そうに話す彼女だったが
意味など、これからいくらでも
自分で調べる力がついてくる。

国語で「げに」という言葉を習って、
こうしてこの歌が思い浮かぶ~
そういう心の奥にしまわれた言葉たちが
歌の旋律とともに浮かび上がる
過去の経験に感謝したいと思う。

子どもの心は、優しく、奥深く、
そして永遠に美しいものを持ち続ける
宝箱
なのかもしれないと思った。

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